Kem / Kemistry

Feb. 2003 Released

ナッシュビル生まれ、デトロイトを拠点に活動するR&Bアーティスト。ジャジーでこれまでにないスムースなミディアム・スロー音源を特徴に、09年時点で通産2枚のアルバムをリリースしており、今回紹介するのはデビュー作となる。アルバムをリリースした当時は、あまりの完成度の高さに驚き、私自身、某紙のレビュー記事にて賞賛を送ったことを覚えているが、実はこのアルバムはアマチュアとして活動していたKem(ケム)が、地元の美容院やレストランなどに売り込み自らの手で10000枚を売り上げたことで噂になり始め、ついには2003年にモータウンからデビューするまでに至った作品だ。なかなかの苦労人で路上生活まで送った経験を持つ彼は、自身の音楽についてこう語る。「ボクの音楽はヒットチャートの一線に並ぶような音楽じゃないけど、ボクの音楽を必要に感じてくれる人に届けばいいんだ。」

チャートの動向を伺うと、アルバムをリリースした03年にBillboard の「Heatseekers」(※実際のチャートインには関係なく、ランク外のアーティストで最も期待度の高いアルバムを計るチャート)で1位を獲得後、リリースから多少の時差を生じて翌年のR&Bアルバム・チャートで14位という高記録を獲得した。制作は自身によるセルフプロデュースで、アマチュア時代に制作した音源10曲をそのまま利用。どの曲もデビュー作の領域を超え、彼の人生=苦悩を表現したアーティスティックな作品となっている。生楽器をメインに洗練されたサウンドと彼のクリアな歌声は聴く回数を増すごとに魅力が募る。忙しない毎日を送る我々に癒しを与える無二のコンテンポラリーR&Bサウンドとして、普段の生活の中で彼の音楽と付き合っていただきたい。

おすすめ度
☆☆☆☆

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