Archive for the ‘R&B’ Category

TheWeeknd / TRILOGY

Tuesday, March 5th, 2013

Nov. 2012 Released

ここのところ音源の仕入れはダウンロードばかりで、さっぱりCDを買う機会が無くなった訳だが、どうしてもCDで購入したかったのが本作The Weekndの「Trilogy」である。この作品は2011年3月に発表した「House of Balloons」、同年8月に発表した「Thursday」、同じく同年12月に発表した「Echoes of Silence」のアルバムに1曲ずつボーナス・トラックを加えた3枚組CDである。

正直言うと、この3作はいずれもMix Tapeとして正々堂々と無料ダウンロードが可能であり、私自身も既にダウンロードを済ませていたアルバムだった。それでは何故金を払ってまでCDを購入したか?と思う方もいらっしゃるだろう。答えはシンプル、アルバムがあまりにも素晴らしかったからである。

アルバムは紙仕様のブックレット付きで、どの表紙にも危険な女性の香りが漂う。これらのアートワークもウィークエンの音楽に触れる前戯であり、彼を知る上でちょっとしたカギとなる。

彼を知るキッカケとなったのは、同郷カナダ出身Drakeのアルバム「Take Care」に収録されていた“Crew Love”である。ヒット曲ではないが、コアなファンの間では「突き抜けている」と言われる曲である。そして、それを後押ししたのはドレイクのClub Paradiseツアーに同行したことと、その映像がYoutubeにアップされたことだろう。

決してオーバーグラウンドで売れるサウンドではないが、DJをやっていると若いアメリカ人のパーティーなどでは“Wicked Games”や“Remember You”などリクエストが多い。しかも彼のサウンドは全くパーティー向きではないのに…だ。

Drakeが彼とサインをするという噂もあったが、それはYoung Moneyとの契約を指すことから、Weekndが拒否したという話を聞いた。次世代R&Bというには深すぎて、理解するには難しい音楽であり、しかしそこが彼の最大の音楽的魅力である。決して容易に売れ路線には行って欲しくないし、彼も行かないだろうと思う。

個人的には1作目の「House of Balloons」があり得ない出来だと思う。歌詞のヤバさ、声のやわらかさ、突き刺さるようなサウンド感など、彼の描く世界に追い込まれて殺されそうだ。

Harold Melvin & the Blue Notes / Wake Up Everybody

Tuesday, April 3rd, 2012

Nov. 1975 Released

Philly Soulが大好きな自分にとって、当時のフィリーソウルを代表する最高傑作としてお勧めしたい作品。1950年代中期に結成されたこのグループは、コアなファン層を除き、商業的に注目されることなく70年代までにメンバーチェンジを繰り返しながらも活動。70年に入りバック・バンドのドラマーとしてメンバーに加わったTeddy Pendergrass(テディーペンターグラス)が、当時メインボーカリストだったJohn Atkins が抜けたことにより、ボーカリストへ転向。ここからグループの転機が訪れた。

Philadelphia Internationalからリリースされた本作はKenneth Gamble & Leon Huffが監修のもと、当時の全米総合アルバム・チャートで最高9位を記録。R&Bチャートでは1位となりプラチナム・セールス(100万枚)の認定を受けている。これを機にテディ・ペンターグラスはソロへとキャリアを移すことになった。

作品は2010年にJohn LegendとThe Rootsがコラボレートした作品「Wake Up」収録”Wake Up Everybody”の原曲も収録。

今はどうなっているのか知る由もないのだが、80年代後期のニューヨークでは明け方になると必ずクラブで必ずプレイされていたHarold Melvin & the Blue Notesバージョンの”Don’t Leave Me This Way”。ガラージや初期のハウスミュージックのDJ がフィリーソウルから受けた影響は計り知れない。このような情緒豊かなソウル・ミュージックを聞いて育った人間が、今の音楽を理解しがたいという感覚はわからなくもない。

もう20年以上も付き合いのある本作。。。更に20年付き合ってもらっても、色あせないほどの作品であると断言する。

Amy Winehouse / Lioness: Hidden Treasures

Wednesday, December 28th, 2011

2011 Dec. Released

2011年7月23日、享年27歳で他界したブリティッシュ・シンガー、エイミー・ワインハウスの才能を改めて知らしめるコンパイル作、2002年から2011年までにレコーディングされた作品。これまでアルバム用に制作された未収録曲を始め、既存のヴァージョン違い、デモ用に録音された音源や、カヴァー曲などが収録。兼ねてから彼女の作品に携わっているパートナー、サラーム・レミやマーク・ロンソンが楽曲の仕上げに関わっている。

カヴァー曲では世界中でヒットし、ポピュラーソングとして人々が知るキャロル・キングの“Will You Still Love Me Tomorrow?”やレオン・ラッセルの“A Song For You”、更にはアントニオ・カルロス・ジョビンが1962年に発表したボサノバの名曲“イパネマの娘”、ジャズ・スタンダード曲の“Body And Soul”をトニー・ベネットと共にデュエットしたエイミー最後のレコーディング曲など、一度聞くと残響が脳裏に焼きつく楽曲の数々。エイミーの音楽スタイルを象徴するレゲエ風“Our Day Will Come”はオープニング曲として華々しくアルバムの看板的役目を果たしているのも見逃せない。

彼女がこれまでに残した2作、ひとつは「Frank」(2003年)そして「Back to Black」 (2006年)に収録されていた楽曲のヴァージョン違いが聞けるのもファンにとっては嬉しい。例えば「Back to Black」に収録されシングル・カットされた“Tears Dry on Their Own”(本作品でのタイトルは” Tears Dry ”)はこちらがオリジナルというのも納得。実に味のあるバラードだったことがわかる。

2011年の音楽界はエイミー・ワインハウスという稀な才能を持ったアーティーストを失ったが、彼女が残した音楽への愛は時代を越えて語り継がれるだろう。少なくとも、この作品を耳にしている間は、そんなゆっくりとした時間が流れていくのを肌で感じて楽しみたいと思う。

Keyshia Cole / The Way It Is

Thursday, September 22nd, 2011

2005 June Released

キーシャ・コールのデビュー作にして全米アルバム・チャートにて最高6位を記録。1年以上チャートにランクイン、ロングランでのセールスとなり最終的には150万枚超えの売上げを達成し大成功となった。当時、個人的にも非常に聞き込んだ思い入れのあるアルバムだ。

ゲストに参加したのはKanye West、Jadakiss、Eve、Chink Santanaなど。そしてプロデューサー陣にはSean Garrett、Polow da Don、Kanye West、Daron Jones、Ron Fairといった、いずれもR&B界の黒幕的存在が名を連ねている点を考えると、既に彼女の制作スタッフがこの新人の売込みにどれだけ気合いを入れていたかがわかる。

彼女の魅力は何と言っても無二の表現力だと思うが、このアルバムからのファースト・シングル“Never”(ルーサーのNever Too Muchをサンプリング)ではEveをフィーチャーし、デビューを派手に飾りたかったのだろうが、実際の結果は全く別のものだった。デビューシングル“Never”は虚しくもチャート入りすることはなく惨敗。それもそのハズ、私思うにこの曲はキーシャの表現力を全く活かしきれていないルーサーのファンとEveのための曲。

続いてセカンドとして先行を切ったのがカニエ作の“I Changed My Mind”。こちらはR&Bチャートの最高23位と期待には沿わなかったがまずまずの結果。最終的に5枚目として放ったシングル“Love”はロン・フェアー作の甘酸っぱいバラード曲。私個人の意見だが、アルバム全体を通じてとてもバランスの良い作品である本作の最もスパイスの効いた曲が、この“Love”ではないかと思う。キーシャの持つ表現力を出し切り、聞くものを惹きつける魔力に溢れている。

その後も次々とアルバムをリリースしJust like You (2007)、A Different Me (2008)、Calling All Hearts (2010)、そして2012年2月には待望の5作目(タイトル未定)をリリース予定。彼女の大ファンとして期待に胸が膨らむ。

Montell Jordan / This is How we Do It

Thursday, June 30th, 2011

Apl. 1995 Released

モンテル・ジョーダンがミュージック・ビジネス界に姿を現した1995年のデビュー作。商業的には2008年にシーンを去るまでの中で最も成功した作品だろうと思う。全米アルバム・チャートの最高12位、シングル“This is How We Do It”は全米シングル・チャートで1位を記録。最終的にアルバムはミリオン・ヒットを達成し95年のグラミーアワードではシングル曲がBest R&B Vocal Performanceにノミネートされるほどの話題曲となった。

モンテルは私が最も好きなR&Bアーティストの一人で、彼の作品は全て所有しているが、個人的には3作目「Let’s Ride」がベスト。それについては今後レビューをする機会を持とうと思う。

DefJamでは最高の貢献者であるにも関わらず、2002年にデフジャム最後の作品「Montell Jordan」をリリースしレーベルを去る。翌年に発売した「Life After Def」のセールスは悲惨だったが、08年の「Let It Rain」は更に全米アルバム・チャートにさえランクインしなかった。そんな彼は2010年にミュージック・ビジネス界から正式に引退を表明。現在はアトランタに実在する教会Victory World Churchにて聖職者として身を置いているとのこと、驚きだ。

話が左右に飛んでしまったが、本作のシングル“This is How We Do It”はスリック・リックの80年代ラップ・クラシック“Children’s Story”を大胆にも使い、今ではヒップホップの血統書付き90年代R&Bクラシックとなっている。こうした同じトラックに新たな命を与え、音楽が引き継がれていく姿に感動を覚えたのも、本作品の醍醐味であった。

Teddy Pendergrassの名曲“Close The Door”カヴァーが収録されているのも憎いところで、当時としては新たな試みだったラップと歌を自由に使い分けた画期的な手法に混じり、このスタンダード曲をまくし立てられる最高の裏切り行為は気持ちが良すぎるのではないか?と嬉しい疑問にさらされる。

おすすめ度
☆☆☆☆

Surface / The First Time : The Best of Surface

Thursday, May 26th, 2011

Aug. 2001 Released

 
シンガーのBernard Jackson、ベーシストのDavid Conley、そしてギターリストのDavid Townsendによる3人組R&Bグループ。既にこの世を去ったDavid Townsend は70年代中期にアイズレーブラザーズのギターリストを務めた他、マービンゲイの名曲 “Let’s Get It On”を手掛けたEd Townsend のサラブレッド(息子)としても知られている。3人は1980年代にEMIの専属ライターとして仕事を共にし、後83年に“Falling in Love”にてデビュー。89年には”Shower Me With Your Love” が全米シングル・チャートの5位を記録し、その曲は当時駆け出しのミュージック・ビデオ専門チャンネルでも頻繁に流れ、国内での認知度を一気に広めた。

グループの最大のヒット曲は1990年にアルバム「3 Deep」に収録、先行リリースとなった”The First Time” である。作品は全米シングル・チャート、全米R&Bチャート共に1位を制した。

86年「Surface」、88年「2nd Wave」、90年「3 Deep」と94年の解散まで通算で3枚のアルバムしか残さなかった彼らだが、心に残るメロディーを書かせたら彼らを差し置いて右に出るものはいないほど印象的。Surfaceが奏でるハーモニーは聞き終えた後の余韻がエンドレスにこだまする。

特に個人的にはウエディングの感動的なシーンで彼らの音楽を頻繁にプレイさせてもらっている。現在2000年代の音楽が忘れかけた「生きたメロディー」の力強さを学ばせてくれる。。。そんなSurface(サーフィス)のベスト盤がこの作品。


Surface . Shower Me With Your Love

 

Bobby Brown / Bobby

Wednesday, May 11th, 2011

Aug. 1992 Released

 
どんなスーパースターにも絶頂期があり、そのまま絶頂期で居続けることは不可能である。山の頂上を制した後は、登った帰り道をゆっくりと、または真っ逆さまに下っていくことになる。何が言いたいかと言うと、今回紹介する80年~90年代のスーパースター、ボビー・ブラウンも当時は誰もが終わりなき永遠のスーパースターに思えた。が、しかし今となれば遥か彼方の記憶として、懐かしの1ページになってしまうということ。

彼の近年の振舞いについては残念なところだらけだが、それでも彼の残した音楽史にはくっきりとその功績が記されているのは確かなことだ。ニューエディションでは数多くの80年物語を築き上げたが、それについては今後にじっくり取り上げることする。

今回紹介するアルバムを本作「BOBBY」にするか、またはソロデビュー作の「Don’t Be Cruel」のどちらを先にするべきか、結構迷った。当時、彼に入れ込んだファンならわかるよね?でも自分にとっては、オンタイムにアメリカで聞いていた非常に思い入れの深い前者を選ばせていただいた。ボビーのビデオを見ては必死にダンスのステップを盗もうとしたのは自分だけではないハズ。最近も偶然見る機会があったのだが、やはり彼はスゴイ!当時は自分もあれくらい体が軽かったナ~なんて思いだした。

さて、この作品「BOBBY」からは“Humpin’ Around”を始め、ジョージクリントンのサンプリングを使った“Get Away”などのニュージャック、後に結婚することをまだ知らないホイットニー・ヒューストンとのデュエット曲“Something in Common”が収録。プロデューサーは当時、ニュージャック・ムーブメントを確立したのテディーライリー、そしてR&Bの象徴的ライター、ベイビーフェイスの2本立て、アルバムは最終的にUS国内でダブルプラチナム、カナダも同じくダブルプラチナムを記録した。

ちなみに自分がDJ の時は懐かしのボビータイムを設ける確率が非常に高いので、要注意です???

おすすめ度
☆☆☆☆

Jamie Foxx / Intuition

Wednesday, January 19th, 2011

Dec. 2008 Released

2004年に映画「Ray」にて主演を務めアカデミー賞を獲得。ビヨンセが出演し話題となった「Dreamgirls」やトムクルーズ主演の「Collateral」などに次々と舞台を移し、その勢いも止まらず俳優として脂ノリノリの彼が2008年にアーティストとしてリリースした本3作目はミリオンセラーを記録。中でもT-Painをゲストに迎えたサードシングル曲の“Blame It” は音楽の最高栄誉であるグラミーアワードの「Best R&B Performance」部門を獲得。

アルバムの内容は奥深く、“Blame It” 以外にも数々の名曲を残したが、T.I.参加の“Just Like Me”、Ne-Yo が歌でFabolousがラップで参加した “She Got Her Own”など、ヘヴィ・ローテーションとなったリード・シングル以外も大人のオ・ハ・ナ・シが満載、ベッドタイム・ミュージックとしても重宝された。

私が在米中の80年代後半のイメージからは考えられないが、当時のジェイミーは「In Living Color」というコメディー番組にて超オチャラケ役で笑いの的であり、コメディアン以外の何物でもなかった・・・というのが本音。その影響も後を引いてか1994年にリリースしたデビュー作「Peep This」は全米ネットワークに出演するアクターとしてはあまりにも悲惨だが、アルバムチャートの最高が78位という結果に留まった。彼がクラシック・ピアノを極め、音楽の道で大学のスカロシップを受けたことがわかったのは、その何年も先でセカンド・アルバム「Unpredictable」をリリースした時だったことは記憶に新しい。

アルバムがミリオンセラーになった要因に、その制作陣の協力なしには語ることが出来ないが、ベテラン・プロデューサーで本作で4曲を書上げたTricky Stewartを始め、Timbaland、Just Blaze、Salaam Remi、Tankなどなど面子がクレジット。

アルバムをしめる最終曲“Love Brings Change”は隠れた普遍のラブ・ソング。
2000年代のR&B代表作品として語り継がれるに相応しい名作である。

おすすめ度
☆☆☆☆☆

R.Kelly & Public Announcement / Born into the 90′s

Thursday, December 23rd, 2010

Jan. 1992 Released

1992年に発売されたR. Kelly のデビューアルバム。当時は彼の他にPublic Announcementという3人組みを率いて93年に解散するまで共に活動を続けていた。個人的にこのアルバムには思い入れがあるのだが、1992年12月だっただろうか、ハーレムのアポロシアターでデビューしたてのR. Kelly & Public Announcementのライブを見に行ったことがある。アルバムからリリースされていたニュージャック・スイング後期のシングル曲「She’s Got That Vibe」をはじめ、ケリ男のスケベ心が芽生えた元祖エロ「Honey Love」、歌唱力の熱さを見せつけた「Slow Dance」等はアンダーグラウンドなヒットとなり、一部はチャートにも顔を見せ始めていた。スティービーワンダーの影響下にあった当時の彼を映し出す「Hey Love」のカヴァーも好印象で、個人的にナンバーワンの曲「Dedicated」は歌詞が最高で、恐らくケリ男が母親に捧げた曲だと推測する。

アルバムの制作には現在も付き合いのあるWayne WilliamsやPeter Mokranといった優秀なエンジニア、Herb PowersというUSのレコーディング業界では有名なマスタリング・エンジニアが参加。それらを仕切っていたのは当時ワイナンズなどゴスペル界で腕を振舞っていたBarry Hankersonであり、この小僧のデビュー作がただの出発点ではないことを物語っていた。

Public Announcementに関しては98年に“All Work, No Play”と言うアルバムでR. Kelly 抜きの再デビューを果たし、密かに日本にも来日した際に、小さなクラブでライブを披露し、その後メンバーとお話をさせてもらった記憶が残っているが、確かオリジナルメンバーは1人しかおらず、その後の活動も大きなヒットに恵まれず苦戦を強いられた。

R. Kelly のメジャー第一弾、原点となるアルバムは本作を含め、完全にソロへと移行した次作の「12 Play」が大元である。2010年末現在、最新作の「Love Letter」、ベスト盤やJay-Zとのコンピレーション等を含め16作をリリースしているベテランであるが、これらの初期作を聴くことで、彼が夢を託していたハングリーな少年の心を身近に感じさせてくれるのだ。

おすすめ度
☆☆☆☆☆

Ashanti / Ashanti’s Christmas

Wednesday, November 17th, 2010

Nov. 2003 Released

前回に引き続き今回もこのシーズンならではのクリスマス・アルバムを紹介したいと思う。自分の家で家族と共にリラックスしたい・・・と言う時にはCece & Bebe Winans が1993年に発表した「First Christmas」やNat King Coleなどの古いアルバムが気に入っているというのは前回お伝えした通り。しかしちょっとしたホリデーパーティーや、もしくは団体の大きなディナータイムなどでもDJ を頼まれた際は、個人的に好んでプレイするアルバムがこちらのクリスマス・アルバムだ。

リリースは2003年、アシャンティがデビュー以降、好調に売上げを伸ばしディーヴァの座を確立していた時期である。決して今も衰えたとは思わないが、時代と共に変わる世代交代というヤツで、その象徴は時代背景によって変わり続けるものだ。しかし2003年の象徴が誰だったかと言えば、それはセカンド・アルバム「チャプターⅡ」をナンバーワンに送り込んだアシャンティ、そう彼女こそ女神の地位を築いた人物であり、ひとゆえに彼女の年だったと事が断言できる。

ちなみにアシャンティ自身はこのアルバムについて「家族向け」であることを強調しているようだが私の観点から言うと本作は実用的なクリスマス・アルバム。非常にさっぱりとした歌い方、そして元気であり、フレッシュである。だからと言って決して安っぽくは無く、心地の良さ、ムードの良さは、他のアルバムにも勝る特別な何かを感じる。実は多くのクリスマス・アルバムはこってりしていて新鮮味に欠ける。そう言った意味でも本作は今聞いてもとてもフレッシュな気分にしてくれる。だからこそ、パーティーにも打ってつけであり、私がちょくちょくプレイをする要因なのかな。。。と自分なりに分析している。

ソングリストは10曲で内容も至ってシンプル。ダニー・ハザウェイの“This Christmas”やスタンダードなところでは“Silent Night”,“Joy to the World”などなど。オリジナルも数曲収録されており、彼女自身もペンを握ったらしい。全体を通じて温かい気持ちになれる・・・これこそホリデーアルバムの醍醐味でしょうな。 

他にもデスチャやトニ・ブラクストン、ブライアン・マックナイトのクリスマス・アルバムも使い分けています。

おすすめ度
☆☆☆

Quincy Jones / Q’s Jook Joint

Friday, September 10th, 2010

Nov. 1995 Released

今回紹介するのは、まさにこのブログのタイトルに相応しいタイムレスな音楽をお届けする、1995年発売Quincy Jones(クインシー・ジョーンズ)の「Q’s Jook Joint」というアルバム。コンセプトは89年に発表した「Back On The Block」の続編とでも言いましょうか、アメリカの音楽界を取り仕切る大ボス的な存在である彼が、若くて有能なアーティストを集め、ジャンルの壁を越え贅沢リッチなメロディーを楽しませてくれる内容です。

「Back On The Block」で12歳の天才シンガー、Tevin Campbell(テヴィン・キャンベル)がこの世に姿を登場したように、この作品からはTamia(タミア)という美貌かつ実力派のシンガーがお披露目を果たしました。このアルバムから2年後にあたる97年に「Tamia」というセルフタイトルを付けたアルバムをリリース。クインシーの秘蔵っ子としてデビュー作は注目を浴び、グラミーのノミネート作品にも選出されたほど。

さて、作品の参加アーティストですがこれが多種多様で、ジャンルごとに分野を極めたスゴ腕揃い。DJ ではFunkmaster Flex、Kid Capri、ラッパーにはTöne Löc, Queen Latifah(彼女は現在Jazz シンガーでもありますが・・・)Heavy D、Melle Mel、Coolio、 Yo-Yo、シンガー陣は信じられないほど豪華で、まだ生きていた頃のRay Charlesを始め、Chaka Khan、 Charlie Wilson、Stevie Wonder、Barry White、McKnight、 Rachelle Ferrell、Ron Isley、Aaron Hall、R.Kellyうわ~あり得ないですな。

グループではミュージカル“Stomp”のオリジナル・キャスト・メンバーやTake 6、ポップ界からPhil Collins、ラテン界からGloria Estefan、当時世界最高と名高かったモデルのNaomi Campbell、NBAのバスケ選手からデビューした天才プレイヤーShaquille O’Nealなどなどなどなど・・・・あとは、誰か忘れてないだろうか???

基本的にはクインシーの畑であるジャズがベースとなっているもの、これだけのミュージシャンが集められるのも彼ならではの成せる技。なんせ「We are the World」を仕掛けた張本人ですから。。。。

おすすめ度
☆☆☆☆☆

John Legend / Get Lifted

Friday, August 20th, 2010

Dec. 2004 Released

2004年12月にリリースしたジョン・レジェンドのメジャーデビュー作。実際には2002年にニューヨークのS.O.B.で録音されたライブ・アルバムがデビュー作以前の2003年にインディーズ盤で出回っているが、彼の名を世の中に知らしめたという意味では本作『Get Lifted』が事実上のお披露目盤となる。

アルバムは全米アルバム・チャートで最高4位を記録。翌年のグラミーアワードでは「Best R&B Album」を獲得し、更には収録曲の ”Ordinary People” が「Best Male R&B Vocal Performance」ダブル受賞を獲得するという快挙を成し遂げた。

デビューまでの道のりには既に業界入りを果たしR&BシーンをかきまわしていたKanye West(カニエ・ウエスト)のサポートがあったことは忘れてはいけない。カニエと共にアリシアキースのメガヒット曲「You Don’t Know My Name」を手掛けたのは有名だが、その後もカニエのビックヒットとなったデビュー作『The College Dropout』に参加するなど、世界的な規模で知られるアーティストとして成功した。

その後は06年に『Once Again』、08年に『Evolver』とスタジオ・アルバムをリリースしているが、やはりデビュー作というのはリスナーは無論、アーティスト自身にとっても思い入れが深く、ジョン自身もこのアルバムに込めた意気込みは何にも代えがたいだろう。収録曲にはジョンの家族で収録したゴスペル曲「It Don’t Have to Change」など心温まる作品や、恋人に向けた数々のスイート・ソウルが満杯に詰まった作品。

2010年9月にはヒップホップ・バンドのThe Roots(ザ・ルーツ)と共に70年代をモチーフにした、とんでもないアルバム『Wake Up!』が発売されるので期待していただきたい。

新作『Wake Up』のアルバムレビューはソウルピーナッツのオフィシャルサイトで確認できます。

おすすめ度
☆☆☆☆

Dru Hill / Dru Hill

Friday, July 30th, 2010

Nov. 1996 Released

ボルティモア出身、シスコをリード・ボーカルにノキオ、ウッディ、ジャズの4名から成るR&Bグループの1996年デビュー作。当時はK-Ci & Jo Jo の成功を知っていただけにシスコのボーカル・スタイルはK-Ci の後追いという評価も多かったが、時間が経過するにつれ彼らグループとしての曲の引き立て方、テイストの旨味の違いに気付いたものだ。

アルバムは全米チャートで最高位23位を記録、収録曲からは「Tell Me」(米シングル総合チャート18位)、「In My Bed」(米シングル総合チャート4位)、「Never Make a Promise」(米シングル総合チャート7位)と新人が放ったアルバムとしては異例の好成績を収めた。

チャート入りを果たせなかった作品以外にも「All Alone」、「5 Steps」などグループの質の高さを伺える音楽論理にかなった楽曲がリスナーの耳には新鮮に映り、更には優れたヴォーカルアレンジを手掛けるシスコ、ノキオのプロデュース能力も評価は買われる。

2002年に3作目となる「Dru World Order」をリリースして以降、グループとしては活動を停止(実質解散状態)となったが、今年2010年にオリジナル・メンバーのWoodyと新メンバーのTaoが入れ替わる形となり、新たな体制で4作目の復帰作をリリースをしている。最新作についてはソウルピーナッツのサイトNew Release をチェック!

おすすめ度
☆☆☆

Musiq Soulchild / Aijuswanaseing

Thursday, July 22nd, 2010

Nov. 2000 Released

2000年に発売されたミュージック・ソウルチャイルドのデビューアルバム。US国内では180万枚を売上げ、プラチナム・ディスクを獲得。アルバムからのファースト・シングル「Just Friends (Sunny)」はビルボードのシングルチャートで最高31位、セカンド・シングル「Love」は24位を記録。フィラデルフィア発のソウルムーブメント火付け作として歴史に名を残す名盤となった。このアルバムをさかえにネオソウルという言葉を頻繁に耳にするようになったが、ネオソウルは当時ルーツのクエストラヴが主催していたオープンマイク・イベント“ブラックリリー”を通じて広がりを見せ、日ごとにその勢いも強まった。

同じ頃、同郷からJill Scottもデビューを果たしており、互いのアルバムやライブを通じて協力し合い、クオリティーの高い音楽を生み出すことで良い関係を垣間見ることができた。2人の制作に携わったジェームス・ポイザーやピノ・パラディーノ、ヴァイダル・デヴィスはこの時期以前にソウルクエリアンズという集団、またはその前にさかのぼるとア・タッチオブジャズ・プロダクションという制作集団のメンバーでもあり、作品単位で素晴らしい楽曲を残している。

ミュージックがデビューしたての時に西麻布のイエローにプロモ来日し、30分ほどの演奏を行った。全て生楽器でメンバーをフィリーから引き連れたのだが、フィリーのテーマ・ソングとも言える「ロッキーのテーマ曲」に始まり、既に愛聴していた「Love」や「Just Friends」をプレイ。CDではわからなかったパワフルな歌に驚き、更にメンバー全員が黒人だったこともあり、あまりに黒過ぎるサウンドに足が震えたのを覚えている。

演奏後に彼と話す機会があったのだが、実際に会って話をするとジャケットなどではわかりにくいが、彼の片目が失明していることに気付く。何を話したかは忘れたが、派手なパフォーマーというよりはミュージシャンとしての印象が強い。

現在も苦戦を強いられながらもリリースをしてはいるが、前作は2008年に発売した「Onmyradio」が最後となっている。是非とも新作の情報を心待ちにしたいところだ。

おすすめ度
☆☆☆☆

Profyle / Nothin’ But Drama

Wednesday, July 7th, 2010

Oct. 2000 Released

99年にアルバム「Whispers in the Dark」でモータウンよりデビューを果たした実力派4人組。本作は2000年にリリースされたセカンド・アルバムでビルボードのアルバム・チャート50位を記録。当時モータウンの社長を務めていたKedar Massenburgが見定め大切に育てたが、思うようなヒットにはつながらなかったというのが実際のところ。

共に育った2人の兄弟と、その従兄弟が集まり結成されたグループは、教会の聖歌隊で鍛えた喉を武器に、当時マービン・ゲイの追悼アルバム「Marvin is 60」で名曲“What’s Going On”を熱唱したのが初のお披露目。歌いこむスローやミドルテンポのR&Bは、アルバムを手掛けた大物プロデューサーが貢献。ジョーやソウルショック&カリーンなど楽曲作りのセンスはプロファイルの良さを十二分に引き出すことに成功した。

勝負作となった本作「Nothin’ But Drama」はデビューから約1年足らずでリリース。テディーライリーが手掛けたファースト・シングル「Liar」が全米シングル・チャートで14位、R&B/Hip Hopチャートでは1位を獲得。残念ながらその後が続かず、グループ自体もしばらくは音沙汰無しの状態。

2004年に自主制作アルバムを発売し、当時そのアルバムの執筆を頼まれたのだが、その音源を聞いた後でさえ、同じ人物とは思えないほど痩せた音になっていたことに困惑。「Nothin’ But Drama」では当時最も旬のR&Bサウンドとされたスティーブ・ハフが手掛けた楽曲「(Can We) M.A.K.E. L.U.V.」、ベテラン・ライターのロイ・ハミルトン、オールスターやジョーなどが制作したスムースなR&Bナンバーの印象が素晴らしかっただけに、自主制作とプロのブレインによる世間への売込みを比較し、改めて影の力を実感させられた。

ミュージック・ビジネス界ではアーティストを芸術ではなく商品としていることが、現実に起こっている日常である。よってアーティストが商品にならないためには、自らの音楽性は自らが創造し、自らで支配し、それを極めることである。しかし、それを売る行為(ビジネス化すること)は非常に困難である。今に至っての音楽業界は先ずは損益から作品が生まれる現状がただ悲しい。

おすすめ度
☆☆☆

Mary J Blige / Stronger with Each Tear

Wednesday, June 2nd, 2010

Apr. 2010 Released

09年の暮れにリリースした9作目の再発盤。アーティストとして熟練した音楽性を見事に表現した、ここ最近の彼女の作品でも傑作である。アルバムの内容がヨーロッパ向けの市場に合わせてか(ボク自身の推測ですが)一部変更となっており、オリジナル盤から4曲が収録されていない代わりにヴァージョン違いやカヴァー曲、未収録曲など8曲を追加。今回取り上げたいのは、そのカヴァー曲である。何故かと言うとLed Zeppelin(レッドツェッペリン)世代であり、メアリー世代でもある自分にとってあまりに衝撃的なカヴァーだったからだ。

Led Zeppelinと言うと、恐らく60年代後半に生まれたバンド世代の日本人にとっては切っても切れない存在。皆がハードロックやヘヴィーメタルのバンドに憧れ、ドカチンのバイトをして髪をのばし、やっとの思いでマーシャルのアンプを手に入れた時代だ。じゃんけんに負けたり「簡単っぽい」と言うきっかけでベースを始めたり、近年惜しくも亡くなったラウドネスの樋口さんに憧れてドラムを始めたり・・。いずれにしてもLed ZeppelinとDeep Purple のコピー(今の言い方はカヴァー)は避けて通れない登竜門だった。特にSmoke on the water, Highway Star,そして今回メアリーがカヴァーした天国への階段はもちろん、ツッペリンのカヴァーはきりがない。

今回のカヴァーに参加したメンバーはスティーヴ・ヴァイ、オリアンティ、トラヴィス・バーカー、ランディ・ジャクソンとスゴイ面子。しかし、自分的にはメンバーの豪華さがどうした?と首をかしげたくなる。

Whole Lotta Loveはアルバムの1曲目ということもあり、かなりインパクトが強い。テンポがやや速めで、気になるのは軽快さ。原曲を忠実に再現している割にはビートの重さが全くたりない!ジョン・ボーナム(ドラマー)が好きでドラムにほれ込んだ自分にとっては聞いていて辛すぎる。プロのミューシャンがCDの販売用としてジミーペイジやロバート・プラントをカヴァーすること自体が、かなり急な崖から飛び降りるようで、今回のチャレンジが地元イギリス人にどう響くのか経過を観察したいと思う。Stairway To Heaven(天国への階段)に関しては、これ以上のコメントは控えさせていただく。。。ということで意味を察してほしい。

とにかくメアリーが大好きな自分には心の葛藤が続くばかりだが、他の楽曲に関しては本当に素晴らしい。デビュー作からこよなく彼女を愛してきた自分にとっては、ハングリーな頃の彼女を思い出す、この上ない出来だと確信する。

この実験的なカヴァーを40代バンド世代がどう考えているのか、出来れば自分のようにヒップホップ世代もかじっている方がいれば意見をお聞きしたい。

おすすめ度
☆☆☆

Case / Case

Friday, May 7th, 2010

Aug. 1996 Released

1996年の全米アルバム・チャートで42位、アルバムの収録曲から「Touch Me, Tease Me」が全米シングル・チャート最高14位を記録。当時のヒップホップ、R&Bシーンでは最も敷居の高いDef Jamから華やかなデビューを飾った。「Touch Me, Tease Me」が新人としてある程度の成功を収めることができたのは、90年代に暴走したヒップホップとサントラのコラボレーション企画で、エディーマフィーが主演を務めたコメディー映画「THE NUTTY PROFESSOR」のサントラとしてピックアップされ、広く世の中に知れ渡ったことも功を制したようだ。

当時ニューヨークに遊びに行った時のこと、ヒップホップの人気ラジオ Kiss FMでDJファンク・マスターフレックスが彼を絶賛しプレイしており、その生々しいDJライブをテープレコーダーで必死に録音していた自分のことを昨日のことのように覚えている。最初に聞いた時は「誰だこのすごいサウンドは?」という感じで非常に興奮した。

90年代半ばにHip HopとR&Bが融合し、ヒップホップソウルという言葉が生まれ、彼の音楽こそズバリとその言葉にはまった。Mary J Bligeが客演で参加した「More To Love」の重くてシンプルなビート。続く「I Gotcha」は不協和音のサンプリングにこれまたへヴィなビート。「Crazy」や「What’s Wrong?」といったバラードも痛いほど心に刺さり、CDが傷だらけになるほど聞き込んだ作品だ。

98年位だっただろうか、確か素人のイベンターが企画したコンサートで横浜に来日したCaseを見に行ったことがあるが、ガラガラで申し訳ないほどの会場の中、彼がバックのカラオケに合わせ必死に歌っていた姿が忘れられない。コンサートは全く告知のないプロモーション状態で行われ、Caseが哀れに思えて仕方なかった。ギャラもまともに支払われなかったという噂され飛び交ったコンサートだった。

Def Jamとは2001年の「Open Letter」を最後に契約解除に。その後は09年に「The Rose Experience」をインディーズでリリースをしたが、正直言って過去にすがりつくようで作品自体の出来は良くないのが残念だった。

今年2010年にもインディーズで「Here, My Love」というアルバムをリリース予定だが詳細はわかっていない。一度は惚れ込んだ男だけに、完全な復帰を果たして突っ張りぬく姿を是非見たいものだ。

おすすめ度
☆☆☆☆☆

OL’SKOOL / OL’SKOOL

Wednesday, April 28th, 2010

Feb. 1998 Released

Keith Sweat(キース・スウェット)が発掘、トータル・プロデュースを手掛け世に送り出したセントルイス出身のR&B グループ。1998年2月にアルバム「OL’SKOOL」をリリースしデビューを果たした。

メンバーはPookie (vocals), Tony Love (vocals, guitar), Curtis Jefferson (vocals, bass), Bobby Crawford (vocals, drum programming, keyboards)の4名から成る。キースが見込んだだけにヴォーカルの実力はピカイチで非常に音楽的、古きソウルマナーを大切にし、プラス当時90年代の磨きがかかった素晴らしいグループであった。

セカンド・アルバム「R.S.V.P.」がお蔵入り?もしくはプロモーション無しで少量のみが出荷されたのかはわからないが、恐らく当時彼らが契約していたレーベルと配給元のユニバーサルとのゴタゴタに巻込まれ、消滅せざるを得ない状況になってしまったと思われる。非常に才能に溢れ良い音楽を作り出していただけに残念である。

曲中では全員がそれぞれ個性のあるヴォーカルを活かしリードを取れる数少ないグループであり、90年代に広がったセクシャルの度を超えた歌詞からも一歩遠ざかることで、70年代の陰りを秘めた情緒のある夢物語を聞かせてくれた。

本作「Ol’Skool」はデビュー作としてビルボードのアルバム・チャートで49位、R&Bアルバム・チャートでは最高10位を記録。アトランティックスターのカヴァー曲「Am I Dreaming」では女性R&Bグループのエクスケープとキース・スウェットをフィーチャー、全米シングル・チャートで31位という好成績を残している。

おすすめ度
☆☆☆

112 (one twelve) / 112

Wednesday, April 14th, 2010

Aug. 1996 Released

現在は各自がソロで活動をしているもの、あまり音沙汰が無くなってしまったが、1996年にBad Boy(バッド・ボーイ)より華々しくデビューした実力派男性ボーカル・グループである。90年代初頭にBoyz II Men(ボーイズトゥメン)の成功からボーカル・グループのデビューラッシュが続いたが、成功したグループの中では先駆けとなった存在であり、一人ひとりが個性を持ち歌唱力の高いソロパートを聞かせてくれる素晴らしいグループだった。96年に本作「112」を放って以降、98年「Room112」、2001年「PartⅢ」、2003年「Hot & Wet」、2005年「Pleasure & Pain」と計5枚のアルバムを残した。音楽専門誌BMRによると、メンバーの横領を機に数年前に解散に至っているが、2010年に入ってからスリムを除くメンバーがレコーディングを開始したという噂もある。

グループのメンバーはMike、Q、Slim、Daronの4人から成る。しつこいようだが、本当に一人ひとりの歌唱力に個性があり、それぞれの役目を発揮することで、ボーカル・グループとしての輝きを増し、全く脇役の無い音楽の集合体となったチームだ。

この「112」では既に他界したヒップホップのレジェンド、ビギースモールズがラップを務めた「Only You」が日本でもヒット。全米ではシングルチャートで13位を記録。同じく13位を記録した「Cupid」というバラードはスリムのクセになる甘い声が心をくすぐる、私の世代にはR&Bの懐メロ的な存在だろう。

制作にはこの時代に旗をなびかせ絶好調に勝ち進んでいたバッドボーイPuff Daddyの(パフ・ダディ現Diddy)や当時のBad Boy専属プロデューサーであったスティービーJ、そしてティム&ボブなどなど。

R&Bシーンが面白い時代のひとつズバ抜けたグループ・・・そんな思入れが忘れられないネ。

おすすめ度
☆☆☆☆

Erykah Badu / Baduizm

Tuesday, April 6th, 2010

Feb.1997 Released

1997年に彼女のデビュー作「Baduizm」が発表され、当時のR&B界に走った衝撃を今でもはっきりと覚えている。彼女のスタイルは何とも表現しにくかったために、よく引き合いに出された人物がジャズ界のカリスマ・アーティスト‘ビリー・ホリデイ’だろう。実はこのビリー・ホリデイと自分には奥深い過去があり、ビリーの音楽は自分が死ぬ前に聞くべきアーティストとしてリストに入っている。それはいいとして、そんな熱狂的なビリーファンの自分にとって、エリカ・バドゥの出現というのはショックそのものだった。

90年代の中期以降に活動が活発になっていたSoulquarians(ソウルクエリアンズ)のメンバー、Common, D’Angelo, Jay Dee, James Poyser, Pino Palladinoなどの一員としてネオソウル・ムーブメントを仕掛け、世に広めた代表作となったアルバムとも断言できる。彼女のトレードマークでもあるヘッドラップ(頭に巻きつけているターバン)は黒人女性らしさを武器に変え、音楽を通じて強い女性像を訴える、1900年代の最終末を飾る時代の象徴ともなった。

非常に稀なことらしいのだが、数年前に彼女にインタビューをする機会があり、普段は必要以上に口を開かない彼女が、とても軽快に質問に答えてくれ、1時間以上に渡るロングインタビューの中で語った印象的な言葉がある。

「自分が育ったダラスで子供のころに多くの恩恵を受けたように、今は自分がこの場所のために恩返しできるプロジェクトとして、多くの基金を設立し地域貢献に役立てている。」ということ。非常にとっつきにくい彼女の印象を覆し、とてもフレンドリーに接してくれるエリカの前評判を吹っ飛ばした。

2010年4月現在、New Amerykah Part Two (Return of the Ankh)という5作目をリリースし、今まで以上にたくましく、前進のみの思考回路を持ったエリカの人間臭さを伺うことができる。40歳を目前に自身の在り方に絶対的な意思を示すことができる強い女性として、彼女の存在はあまりにもまぶしすぎる。

おすすめ度
☆☆☆☆