Archive for June, 2011

Montell Jordan / This is How we Do It

Thursday, June 30th, 2011

Apl. 1995 Released

モンテル・ジョーダンがミュージック・ビジネス界に姿を現した1995年のデビュー作。商業的には2008年にシーンを去るまでの中で最も成功した作品だろうと思う。全米アルバム・チャートの最高12位、シングル“This is How We Do It”は全米シングル・チャートで1位を記録。最終的にアルバムはミリオン・ヒットを達成し95年のグラミーアワードではシングル曲がBest R&B Vocal Performanceにノミネートされるほどの話題曲となった。

モンテルは私が最も好きなR&Bアーティストの一人で、彼の作品は全て所有しているが、個人的には3作目「Let’s Ride」がベスト。それについては今後レビューをする機会を持とうと思う。

DefJamでは最高の貢献者であるにも関わらず、2002年にデフジャム最後の作品「Montell Jordan」をリリースしレーベルを去る。翌年に発売した「Life After Def」のセールスは悲惨だったが、08年の「Let It Rain」は更に全米アルバム・チャートにさえランクインしなかった。そんな彼は2010年にミュージック・ビジネス界から正式に引退を表明。現在はアトランタに実在する教会Victory World Churchにて聖職者として身を置いているとのこと、驚きだ。

話が左右に飛んでしまったが、本作のシングル“This is How We Do It”はスリック・リックの80年代ラップ・クラシック“Children’s Story”を大胆にも使い、今ではヒップホップの血統書付き90年代R&Bクラシックとなっている。こうした同じトラックに新たな命を与え、音楽が引き継がれていく姿に感動を覚えたのも、本作品の醍醐味であった。

Teddy Pendergrassの名曲“Close The Door”カヴァーが収録されているのも憎いところで、当時としては新たな試みだったラップと歌を自由に使い分けた画期的な手法に混じり、このスタンダード曲をまくし立てられる最高の裏切り行為は気持ちが良すぎるのではないか?と嬉しい疑問にさらされる。

おすすめ度
☆☆☆☆

Miki Howard / Femme Fatale

Wednesday, June 22nd, 2011

Sep. 1992 Released

1960年9月生まれ、2011年現在50歳シカゴ出身のシンガー。アメリカでは非常に有名なゴスペル・グループ、The Caravans(キャラバンズ)のメンバーでJosephine Howard(ジェゼフィン・ハワード)の娘としても知られている。活動初期はSide Effectのメンバーとして参加経験もあるが、彼女の転機はソロ4作目となる本作。この時代背景には当時ブラック・ムービーの先駆けとして注目の的となったスパイク・リーの映画「Malcolm X」が世間を騒がせており、彼女はこの映画でBillie Holiday(ビリーホリデー)役としてステージに上がり、彼女の十八番「Good Morning Heartache」を披露した。本作にも同曲が収録されているが、オリジナルとは違う角度から感じ取った“悲しきヒロイン”を歌いこなす姿は多くの共感を呼んだ。

2008年までに9作をリリースしているが、素晴らしい歌唱力があるにもヒット曲に恵まれず、歌手としては苦労続き。個人的に今度こそと思い、毎回アルバムを購入するも、なかなか良いと思える作品に仕上がっていないのがつらい。自身で楽曲をプロデュースしない歌手が「その人にとっての作品に巡り会うこと」の難しさが、ここに語られているような気がする。

ともあれ、本作「Femme Fatale」には彼女にとって最高位を記録した“Ain’t Nobody Like You”(全米シングル・チャート64位)が収録。私もこの曲はニューヨーク在住時に毎日ラジオから流れ聞いていたのを覚えている。逆にこの曲を聞くと当時のことを思い出してしまうほど、私にとっては強力な印象が植え付いている。

スライ&ファミリーストーンの“Thank You for Talkin’ to Me Africa”カヴァーあり。制作はKenny Gamble、David Fosterなど素晴らしい面子揃い。ゲストに当時の男性シンガーとしては大の人気者、Christopher Williamsを迎えている。

おすすめ度
☆☆☆

 

Anthony Hamilton / Comin’ From Where I’m From

Tuesday, June 14th, 2011

July 2003 Released

音楽の性格上、彼の得意とするソウル・サウンドというカテゴリーが時代とミスマッチしていることもあるのだろうか、ミュージシャンとして非常に苦労人であることは事実。1971年1月生まれ、現在40歳ノースキャロライナ出身のシンガーソングライター。

93年、当時勢いに乗っていたアップタウン・レーベルと契約するもリリースは破棄。レディ・ガガだって若いころにデフジャムとの契約が流れた話があるんだから、この世界では珍しくないのだろうけど、夢抱く叩き上げ系のミュージシャンにとっては死活問題。まわりまわってようやくリリースに至ったのが10年後2003年の本作となる。よくも諦めずに気力を持ち続けたことだと思うが、その後に授かった数々のアワードでのノミネートや受賞を考えると、アンソニーの人生は結果的に強運だったことを実証している。

作品の話に移るが、アルバムはジャーメイン・デュプリの“So So Def”レーベルからリリースとなったもの、ジャーメイン色は影もなく、アンソニー自身の音楽性を十分に発揮できるよう環境が配慮されているようだ。本アルバム最大のヒットとなった「Charlene」はシングル総合チャートで19位、R&Bチャートで3位と地味ではあるが、彼のような土臭いソウル・ミュージシャンが現代に出せる結果としては最高の形だ。私自身もこの曲を初めて聞いた時は同じ音楽を志す人間として同じような経験があっただけに胸に刺さる想いをした。歌の内容としてはこのようなことだ。

朝、目が覚めたら彼女からの手紙を見つけた。
ボクがいつも音楽の仕事で外に出ているから「もう疲れた」という内容だった。

という歌いだしで始まり、この女性を一人ぼっちにしてしまったことを後悔し、ひたすら待っている男の姿を描いている。極めつけは曲の最後に歌う「もし、これを聞いていたら、直ぐにでも連絡を欲しい・・・」とアドリブをかますパートは特に痛々しい。

他のお気に入りはLatoiya Willams(この女性リリース記録は無いもの素晴らしい才能の持ち主)とのデュエット曲「My First Love」もタイムレスな名曲として是非とも聞いていただきたい作品。

おすすめ度
☆☆☆☆

Akiko / Girl Talk

Thursday, June 2nd, 2011

2001 June Released

 
Akikoさんの衝撃デビューから早10年。今でも忘れられないのですが、彼女のことを初めて知ったのが、私の生活がまだ苦しかった(今でも結構苦しいが・・・)トラックドライバーで生計を立てていた時期。運転中にラジオから彼女のインタビューが流れて、今後デビューを予定していると話していた。当の自分はミュージシャンの夢をあきらめ、家族にメシを喰わせる術を模索していた時期でもある。しかも日本人で初となるジャズの名門ヴァーヴからリリースをするということで、長年ジャズを聴いていた自分にとっては興味を抱かずにはいられないシンガーとなった。

丁度この数年前に、現在も世界的に有名なジャズ・ピアニストのK氏が私のライブ・サポートをしてくれたのですが(本当に感謝しています)、そのピアニストがAkikoさんのライブ・ピアニストでもある繋がりでAkikoさんのライブに訪れる機会がありました。場所の名前は覚えていませんが、小さいライブハウスで休憩をはさんで1時間半くらい歌ったと思います。まだアルバムは聞いていませんでしたが、スタンダード曲も多かったので、ほとんどは理解できました。休憩中に遊びに行くとAkikoさんが煙草を吸っていたので、びっくり!少なくとも自分のまわりのシンガーに煙草を吸っている人はいませんでしたので・・・

回想はここまでとして、この記念すべきデビュー・アルバム「Girl Talk」は私も大好きなHenri Renaud氏がプロデュース。Akikoさんの個性を素晴らしい状態で引き出しているのは、彼の長年の五感が成せる技だと思いました。どの曲も好きなのですが、個人的に響いたのは彼女が歌う“Crazy He Calls Me”、“Sweet Georgia Brown”、そしてライブでも記憶に残った変則ビートの“Fly Me To The Moon”でしょう。

仕事上ではこのアルバムを含め、彼女の曲は結婚式の歓談にもよく使います。私が現在までも、そしてこれからも大好きな日本人アーティストの一人です。

おすすめ度
☆☆☆☆