Archive for March, 2011

Esperanza Spalding / Chamber Music Society

Wednesday, March 2nd, 2011

Aug. 2010 Released

2011年のグラミー賞授賞式は予想を覆す場面を多数目の当たりにしたが、恐らく「Best New Artist」ほど世界を仰天させたシーンは他ならないだろう。ノミネート時には今回ご紹介するEsperanza Spalding(エスペランサ・スポルディング)をはじめJustin Bieber、Drake、Florence & The Machine、Mumford & Sonsの5組が候補にあがっていたが、当初は誰もがジャスティンとドレイクの一騎打ちになるだろうと予想していた。が、実際に発表された勝者はジャズ界の新生でありながらも一番勝者の予想から遠ざかっていたEsperanza Spalding本人だった。

これに対し賛否両論様々な意見が飛び交ったが、ある音楽界の著名人は新聞の一面を買い取って講義の文面を掲載した。グラミー審査委員会はもっと公平かつ客観的な立場で音楽界を評価するべきだという意見や新人賞の受賞を逃したジャスティンのファンからは、彼女の存在がネット上で痛烈な攻撃を受けたとの報告もあるようだ。

彼女の音楽をノラ・ジョーンズと引き合いにかける評論家もいるようだが、私の考えではそれは全く次元の違う話だと思う。唯一同じことはジャズのボーカルであるということだけ。ノラ・ジョーンズが誰からも共感されるアイドル的シンガーであるのに対し、Esperanzaは様々な楽器や音楽理論を用いて自身を表現する芸術家であり、ただの歌い手ではない。もっと率直に言うと「ポップではない」の一言に尽きる。アート性が限りなく際立っている分、わかりにくいのだ。

若干20歳で世界で最も音楽的に格式の高いバークリー音楽院を卒業し、翌年にAyva Music Ayva Musicより自身のリーダー作「Junjo」にてデビュー。翌年2007年はStanley Clarkeとの共作を発表、08年は2作目となる「Esperanza」のリリース、09年はオバマ大統領がノーベル平和賞を受賞した式典にて名誉たるコンサートに出演するなど、これまでの活動が目まぐるしいほど忙しかったことは確かだ。

この度グラミー・アワードで評価を受けた「Chamber Music Society」は2010年8月にリリース後、再び脚光を浴び2011年3月5日付けのビルボード・アルバム・チャートで自己ベスト記録の34位をマークした。

現在若干27歳(2011年3月時点)数少ない若きアメリカの芸術家であり、ジャズ・ミュージシャンである彼女の音楽が、今後どのような変化を遂げていくのか?期待と末恐ろしさを同時に抱え、見守っていくのみである。

おすすめ度
☆☆☆☆