Archive for June, 2010

Various Artists / WOW Gospel 2010

Wednesday, June 30th, 2010

Jan. 2010 Released

WOWシリーズはアメリカ国内で非常に重宝されているゴスペル系のアーティストのヒット作をコンパイルする企画もので、これまでに「90年代」、「クリスマス」、「ゴスペル・ナンバーワン」など1度だけのリリース作を含め、様々なトピックで作品を提供。その時の旬を詰め込んだコンピレーション企画が特徴だ。

今回紹介する「WOW Gospel」は1998年からシリーズが始まり、年に1度のタイミングでその年のベスト・コンテンポラリー・ゴスペルを集めリリースを続けているシリーズ作。2010年も1月に発売され、毎週200位まで統計されているビルボード・アルバム・チャートの下の方で長期ランク・インを果たす。要するに年間で考えると地味ながらも売れているアルバムの1種類ということ。

全30曲2枚のCDの内容は以下の通り

Disc 1
1. Souled Out – Hezekiah Walker and The Love Fellowship Choir
2. Back II Eden – Donald Lawrence and The Company
3. Praise Him In Advance – Marvin Sapp
4. Help Me Believe – Kirk Franklin
5. Wait On The Lord – Donnie McClurkin featuring Karen Clark-Sheard
6. Good News – Vanessa Bell Armstrong
7. Faithful To Believe – Byron Cage
8. It Ain’t Over – Maurette Brown Clark
9. God Is A Healer – Kurt Carr and The Kurt Carr Singers
10. Justified – Smokie Norful
11. Waging War – CeCe Winans
12. Cry Your Last Tear – Bishop Paul Morton
13. Bettah – Jonathan Nelson and Purpose
14. At The Revival – Mighty Clouds Of Joy

Disc 2
1. They That Wait – Fred Hammond
2. Saved By Grace – Israel Houghton
3. Here I Am To Worship – Heather Headley
4. I Worship You – Mary Mary
5. Chasing After You (The Morning Song) – Tye Tribbett and G.A.
6. I Look To You – Whitney Houston
7. I Pour My Love – Juanita Bynum
8. I Trust You – James Fortune and Fiya
9. Free – Darwin Hobbs
10. Restored – J Moss
11. Ungrateful – Deitrick Haddon
12. Renewed – Sheri Jones-MoffettI
13. Revealed – Myron Butler and Levi
14. One – Kierra Sheard
15. He’ll Make A Way – RiZen
16. Enter His Gates – Rev. Timothy Wright and The New York Fellowship Choir

ゴスペルが好きな方ならKirk FranklinやCeCe Winansなど、聞いたことのある名前が並んでいることに気づくだろう。今回は私自身も知らないアーティストが2組あり、一度聞いてみるのには良い機会であった。

リストの中にはゴスペル・チャートでランク入りしているトラックも数多く、年間を通じたゴスペル・ミュージック界の動向も伺えるので、参考書的な活用をさせてもらっている。これだけ多くの傑作を集めたゴスペル・コンピは他にないので、自信を持ってお薦めできるシリーズ作です。

おすすめ度
☆☆☆☆☆

Patrice Rushen / Forget Me Nots & Remind Me

Thursday, June 24th, 2010

May. 1998 Released

 
本名パトリース・ルイズ・ラッシェン、1954年LA生まれ。ソングライター、コンポーザーであると共に本業はセッション・ピアニストである。英才教育で幼少期よりピアノを始め10代で天才ピアニストと称される。72年のモンテレー・ジャズ・フェスティバルにて一気に注目を集め、グラミーアワードでは女性初のコンポーザー/ディレクターとして賞を授与、これまでにジャネット・ジャクソンなどのワールドツアーなどを手掛けた。本人が放ったアルバムは15枚を超え、90年代半ばにはヒップホップ・アーティストから多くの曲がサンプリングされリバイバルを起こした。

今回紹介するのは彼女が残した数々のヒット作を1枚に集約したエレクトラ在籍時代のベスト盤。リバイバル時の98年に発売された15曲入りのアルバムで現在こうして手にとって聞いていても全く色あせることのない音源。どれも名曲ばかりなので、始めてのリスナーには彼女の音楽を知るお試しの1枚として聞いていただけると間違いないだろう。最大のヒットが82年にリリースした「Straight from the Heart」から‘Forget Me Nots’が全米シングル・チャート23位と数字的にはさほどの功績を感じないかもしれないが、当時から現在までのソウル・リスナーで特にコア層に与えた影響は計り知れない。

2010年7月には東京コットンクラブにてドラマーのハーヴィー・メイソンが率いるジャズファンク・バンド「カメレオン・バンド」のキーボーディストとして久々の来日を予定しており、そちらも楽しみ。ひとつだけ補足を付け加えると、ネットなどで見ることができる彼女の写真は相当古いもので、当時のスラっとかわいい風貌とはやや状況が異なり、現在はふっくらモチモチ気味。ライブを見に行く方は「彼女が出演してないじゃねーか!」と誤解をしないように!


↑美人さんだった当時の彼女。。。歌声は小鳥のさえずりと比喩された。

おすすめ度
☆☆☆☆

Charice / Charice

Wednesday, June 16th, 2010

May. 2010 Released

1992年5月10日生まれ、現在18歳のCharice Pempengco(シャリース・ぺムペングコ)フィリピン出身。私が最近DJとして出向いたフィリピンのファミリーが集まるパーティーで彼女のリクエスト曲が嵐のように届いた。向かった先がフィリピン系のファミリーとは知らなかったこともあり、Chariceの音源を持ち合わせていなかったDJ の自分は悪魔のような存在に思えただろう。なんせ彼女は今やフィリピンを代表する国民的スターなのだから。

アメリカのビルボード・チャート史上、アジア人におけるアルバム・ランキング最高上位は1963年に坂本九が記録した14位を破られることはなかったが、この度シャリースが記録した8位と言う記録はアジア系アーティストの歴史を大きく塗り替えた。勿論、彼女はそれに値するシンガーであり実力やルックスを含めたトータル的な評価からも、今後の飛躍が期待される人物である。

その経歴は7歳から始めたアマチュア・ショーやフィリピン国内で出場した数多くのコンテストにさかのぼる。そして彼女の転機は2005年に勝ち残った「Little Big Star」というTVタレント・ショーでのこと。記憶に残るパフォーマンスで後に地元のコマーシャルなどに抜擢され、そして今世紀最大のインターネット・ツール「Youtube」にてFalseVoiceというユーザーネームで投稿した歌の数々は海を越えて、海外でも話題沸騰となった。

2007年にはフィリピン国内発売用にスウェーデンのプロダクションからオファーを受け映画「Dreamgirls」でジェニファー・ハドソンが歌った “And I Am Telling You I’m Not Goingなど難度の高いカヴァー曲を歌い上げた。08年と09年に2作をリリースし、2010年5月にアメリカ国内でデビュー。オプラ・ウィンフリーが司会を務める老舗番組に出演し、彼女の涙腺に一撃をくらわせたことで一気に全米で燃え広がったわけだ。

デヴィッド・フォスターがプロデュースを務め、ダイアン・ウォーレンがペンを握るという話題作「Note To God」はとてつもないお披露目曲にもかかわらず、シングル・チャートで最高44位と意外にも苦戦したが、現在フロア向けにリリースされているIyazフィーチャリング「Pyramid」はゆっくり上下しながらもチャートに滞在。

今後もファンの一員として彼女の活躍を見守りたい!

おすすめ度
☆☆☆

Lil Jon & The East Side Boyz / Crunk Juice

Wednesday, June 9th, 2010

Nov. 2004 Released

2004年にリリースしたリルジョン氏の6作目。East Side Boyz のメンバーはBig Sam (ビックサム)とLil Bo (リルボウ)の2人。シンプルなダーティー・キーワードをコール&レスポンスし、ストリートに向けて制作された本作はエナジー全快クランクのクラシック作。

ちょうど同じ時期にUsher の「Yeah!」←2004年のテーマ曲)、そしてCiara の「Goodies」が世界で爆発的にヒットし、いずれもビルボードのシングル・チャートで首位を独占したが、このトラックを制作した人物こそLil Jon 本人、恐らくこの2曲で一生食べていける金は稼いだと推測する。

話は変わるがLil Jon氏は元々レコード会社での下積みも長く、自身の振舞いや売り方を他のアーティストの何倍も心得ており、セルフコントロールの舵を巧みに握り、がっぽり稼いで業界で長生きできる術を把握できている非常に頭のキレるアーティストである。

現在ニューアルバムCrunk Rockがリリースされているが、こちらのアルバムの方が音楽的にはロック要素が濃く、イントロダクションのトラックから始まり、ヘヴィメタ・バンドSlayerの歪んだギター音をサンプリングしたStop Fuckin’ Wit Meに至るまで、ヘッドバンガーの喜ぶ音が随所に見られる。

個人的なお気に入りはIce Cube とコラボした”Real Nigga Roll Call. 次々と飛び出すIce調の4 Letter Words はオールドスクール・ラップのコア層には響くだろう。アルバムは全米アルバム・チャートで3位、R&Bアルバム・チャートで2位を記録。UsherとLudacrisをフィーチャーした収録曲の「Lovers & Friends」は全米シングル・チャートで3位まで登りつめた。

おすすめ度
☆☆☆☆

Mary J Blige / Stronger with Each Tear

Wednesday, June 2nd, 2010

Apr. 2010 Released

09年の暮れにリリースした9作目の再発盤。アーティストとして熟練した音楽性を見事に表現した、ここ最近の彼女の作品でも傑作である。アルバムの内容がヨーロッパ向けの市場に合わせてか(ボク自身の推測ですが)一部変更となっており、オリジナル盤から4曲が収録されていない代わりにヴァージョン違いやカヴァー曲、未収録曲など8曲を追加。今回取り上げたいのは、そのカヴァー曲である。何故かと言うとLed Zeppelin(レッドツェッペリン)世代であり、メアリー世代でもある自分にとってあまりに衝撃的なカヴァーだったからだ。

Led Zeppelinと言うと、恐らく60年代後半に生まれたバンド世代の日本人にとっては切っても切れない存在。皆がハードロックやヘヴィーメタルのバンドに憧れ、ドカチンのバイトをして髪をのばし、やっとの思いでマーシャルのアンプを手に入れた時代だ。じゃんけんに負けたり「簡単っぽい」と言うきっかけでベースを始めたり、近年惜しくも亡くなったラウドネスの樋口さんに憧れてドラムを始めたり・・。いずれにしてもLed ZeppelinとDeep Purple のコピー(今の言い方はカヴァー)は避けて通れない登竜門だった。特にSmoke on the water, Highway Star,そして今回メアリーがカヴァーした天国への階段はもちろん、ツッペリンのカヴァーはきりがない。

今回のカヴァーに参加したメンバーはスティーヴ・ヴァイ、オリアンティ、トラヴィス・バーカー、ランディ・ジャクソンとスゴイ面子。しかし、自分的にはメンバーの豪華さがどうした?と首をかしげたくなる。

Whole Lotta Loveはアルバムの1曲目ということもあり、かなりインパクトが強い。テンポがやや速めで、気になるのは軽快さ。原曲を忠実に再現している割にはビートの重さが全くたりない!ジョン・ボーナム(ドラマー)が好きでドラムにほれ込んだ自分にとっては聞いていて辛すぎる。プロのミューシャンがCDの販売用としてジミーペイジやロバート・プラントをカヴァーすること自体が、かなり急な崖から飛び降りるようで、今回のチャレンジが地元イギリス人にどう響くのか経過を観察したいと思う。Stairway To Heaven(天国への階段)に関しては、これ以上のコメントは控えさせていただく。。。ということで意味を察してほしい。

とにかくメアリーが大好きな自分には心の葛藤が続くばかりだが、他の楽曲に関しては本当に素晴らしい。デビュー作からこよなく彼女を愛してきた自分にとっては、ハングリーな頃の彼女を思い出す、この上ない出来だと確信する。

この実験的なカヴァーを40代バンド世代がどう考えているのか、出来れば自分のようにヒップホップ世代もかじっている方がいれば意見をお聞きしたい。

おすすめ度
☆☆☆