Archive for April, 2010

OL’SKOOL / OL’SKOOL

Wednesday, April 28th, 2010

Feb. 1998 Released

Keith Sweat(キース・スウェット)が発掘、トータル・プロデュースを手掛け世に送り出したセントルイス出身のR&B グループ。1998年2月にアルバム「OL’SKOOL」をリリースしデビューを果たした。

メンバーはPookie (vocals), Tony Love (vocals, guitar), Curtis Jefferson (vocals, bass), Bobby Crawford (vocals, drum programming, keyboards)の4名から成る。キースが見込んだだけにヴォーカルの実力はピカイチで非常に音楽的、古きソウルマナーを大切にし、プラス当時90年代の磨きがかかった素晴らしいグループであった。

セカンド・アルバム「R.S.V.P.」がお蔵入り?もしくはプロモーション無しで少量のみが出荷されたのかはわからないが、恐らく当時彼らが契約していたレーベルと配給元のユニバーサルとのゴタゴタに巻込まれ、消滅せざるを得ない状況になってしまったと思われる。非常に才能に溢れ良い音楽を作り出していただけに残念である。

曲中では全員がそれぞれ個性のあるヴォーカルを活かしリードを取れる数少ないグループであり、90年代に広がったセクシャルの度を超えた歌詞からも一歩遠ざかることで、70年代の陰りを秘めた情緒のある夢物語を聞かせてくれた。

本作「Ol’Skool」はデビュー作としてビルボードのアルバム・チャートで49位、R&Bアルバム・チャートでは最高10位を記録。アトランティックスターのカヴァー曲「Am I Dreaming」では女性R&Bグループのエクスケープとキース・スウェットをフィーチャー、全米シングル・チャートで31位という好成績を残している。

おすすめ度
☆☆☆

William Becton & Friends / Broken

Monday, April 19th, 2010

May. 1995 Released

ワシントンD.C で活動するゴスペル・アーティスト、William Becton氏のデビュー・アルバム。過去にワシントン市内にあるDuke Ellington School for the Artsにて本格的な音楽のトレーニングを受けた経験を持つ。

本作は米ビルボードのゴスペル・チャートで初登場3位を記録し、以降11週に渡って1位となった。1993年にカーク・フランクリンが自らのクワイアーを率いてゴスペル・ミュージックをポピュラーな音楽へと導いたように、彼のこの作品からも「Be Encouraged」という収録曲がビルボードのR&Bチャートの40位圏内にチャートインを果たす快挙を遂げた。当時26歳だったベクトンは自身が予測していなかったことだけに驚きを隠せなかったようだ。

1990年代の半ばから本格的にゴスペル・ミュージックのブームが始まった時、私が知っているだけでも、それまで活動していた多くの指導者がこの傾向に慎重派となる動きがあった。神のために捧げる音楽をミュージック・ビジネスに巻き込みたくないというのがその理由だ。結果、多くのコンテンポラリー・ゴスペル・アーティストが生まれたが、その流れに保守的な考えを貫いた一部の有能なアーティストも多く存在し、彼らはインディーズの範囲内で現在も活動を続けている。

本作は彼のクワイアーを率いて1994年にライブ収録された作品。当時個人的に最も注目したのはデビュー前のKenny Lattimore(ケニー・ラティモア)がソロをとっている「Still in love with you」、「Fall Afresh」という収録曲。

2003年に「Broken Vol.2 Live」というタイトルで第二弾をリリースしているようだが、そちらはどういった内容か作品を購入していないのでコメントはできない。いずれにしても90年代のゴスペル・ジェネレーションの幕開けに大きく貢献した1枚だったことは間違いないだろう。


代表曲となった「Be Encouraged」

おすすめ度
☆☆☆

112 (one twelve) / 112

Wednesday, April 14th, 2010

Aug. 1996 Released

現在は各自がソロで活動をしているもの、あまり音沙汰が無くなってしまったが、1996年にBad Boy(バッド・ボーイ)より華々しくデビューした実力派男性ボーカル・グループである。90年代初頭にBoyz II Men(ボーイズトゥメン)の成功からボーカル・グループのデビューラッシュが続いたが、成功したグループの中では先駆けとなった存在であり、一人ひとりが個性を持ち歌唱力の高いソロパートを聞かせてくれる素晴らしいグループだった。96年に本作「112」を放って以降、98年「Room112」、2001年「PartⅢ」、2003年「Hot & Wet」、2005年「Pleasure & Pain」と計5枚のアルバムを残した。音楽専門誌BMRによると、メンバーの横領を機に数年前に解散に至っているが、2010年に入ってからスリムを除くメンバーがレコーディングを開始したという噂もある。

グループのメンバーはMike、Q、Slim、Daronの4人から成る。しつこいようだが、本当に一人ひとりの歌唱力に個性があり、それぞれの役目を発揮することで、ボーカル・グループとしての輝きを増し、全く脇役の無い音楽の集合体となったチームだ。

この「112」では既に他界したヒップホップのレジェンド、ビギースモールズがラップを務めた「Only You」が日本でもヒット。全米ではシングルチャートで13位を記録。同じく13位を記録した「Cupid」というバラードはスリムのクセになる甘い声が心をくすぐる、私の世代にはR&Bの懐メロ的な存在だろう。

制作にはこの時代に旗をなびかせ絶好調に勝ち進んでいたバッドボーイPuff Daddyの(パフ・ダディ現Diddy)や当時のBad Boy専属プロデューサーであったスティービーJ、そしてティム&ボブなどなど。

R&Bシーンが面白い時代のひとつズバ抜けたグループ・・・そんな思入れが忘れられないネ。

おすすめ度
☆☆☆☆

Erykah Badu / Baduizm

Tuesday, April 6th, 2010

Feb.1997 Released

1997年に彼女のデビュー作「Baduizm」が発表され、当時のR&B界に走った衝撃を今でもはっきりと覚えている。彼女のスタイルは何とも表現しにくかったために、よく引き合いに出された人物がジャズ界のカリスマ・アーティスト‘ビリー・ホリデイ’だろう。実はこのビリー・ホリデイと自分には奥深い過去があり、ビリーの音楽は自分が死ぬ前に聞くべきアーティストとしてリストに入っている。それはいいとして、そんな熱狂的なビリーファンの自分にとって、エリカ・バドゥの出現というのはショックそのものだった。

90年代の中期以降に活動が活発になっていたSoulquarians(ソウルクエリアンズ)のメンバー、Common, D’Angelo, Jay Dee, James Poyser, Pino Palladinoなどの一員としてネオソウル・ムーブメントを仕掛け、世に広めた代表作となったアルバムとも断言できる。彼女のトレードマークでもあるヘッドラップ(頭に巻きつけているターバン)は黒人女性らしさを武器に変え、音楽を通じて強い女性像を訴える、1900年代の最終末を飾る時代の象徴ともなった。

非常に稀なことらしいのだが、数年前に彼女にインタビューをする機会があり、普段は必要以上に口を開かない彼女が、とても軽快に質問に答えてくれ、1時間以上に渡るロングインタビューの中で語った印象的な言葉がある。

「自分が育ったダラスで子供のころに多くの恩恵を受けたように、今は自分がこの場所のために恩返しできるプロジェクトとして、多くの基金を設立し地域貢献に役立てている。」ということ。非常にとっつきにくい彼女の印象を覆し、とてもフレンドリーに接してくれるエリカの前評判を吹っ飛ばした。

2010年4月現在、New Amerykah Part Two (Return of the Ankh)という5作目をリリースし、今まで以上にたくましく、前進のみの思考回路を持ったエリカの人間臭さを伺うことができる。40歳を目前に自身の在り方に絶対的な意思を示すことができる強い女性として、彼女の存在はあまりにもまぶしすぎる。

おすすめ度
☆☆☆☆